【CCCアートラボ】12月1日(金)より横浜マリンタワーにて、荒井颯子の個展「黄色い壁、いくつかの短い話」を開催。和紙と岩絵具を用いて架空の世界を描いた作品を展示。
横浜マリンタワー
横浜マリンタワー2階のアートスペースでは、多摩美術⼤学⼤学院に在籍中の若手作家・荒井颯子による個展「黄色い壁、いくつかの短い話」を2023年12月1日(金)~12月27日(水)の期間に開催します。(企画協力|CCCアートラボ)
・概要
荒井颯子は、1999年京都府生まれ。現在多摩美術大学大学院 美術研究科に在籍しながら、架空の世界に生きる人物を日本画の技法で描くアーティストです。自分自身の経験や感情ではなく、自身が作った風景と映画や写真などのイメージを組み合わせた作品は、異国情緒あふれる独特の世界観を持っています。発色性の高い岩絵具とその質感によって、現実世界ではなく架空の世界であることを強調し、無表情に描かれた人物は、現代社会の寂しさやささやかな幸福を示唆しています。
荒井にとって初めての個展となる本展では、《黄色い壁》を軸に生み出した新作を展示します。こちら側とあちら側を隔てる壁。その手前にいる人がこの作品を観たときに、向こう側の世界の存在に気付いてもらえるような作品であってほしい、と荒井は語ります。
・アーティストステートメント
黄色い壁、いくつかの短い話
思いがけない出来事は予想できた出来事より良くも悪くも大きな衝撃を与える。悪い予期せぬ出来事が起こることがとても怖く、絵も出来るだけ自分の思った通りにしたいものだが、同時に思いがけないことが私の絵の中で起きて欲しい。
疲れて感覚が鈍くなってくると、自分が今どんな気持ちなのかわかるのに時間がかかることがある。そういうとき、ばらばらの出来事やそこに起こった気持ちが、自分の中でぼんやりとまとまって、感情になっていくように思われる。日々の出来事はそれぞれ違う場所で起こりながらも互いに私の中で響き合ってやがて大きな感情に繋がるのではないだろうか。「悲しい」という感情にも嬉しさの混じった悲しさや、悔しさの混じった悲しさなど色々な種類のものがある。一度「悲しい」という気持ちに分類してしまうと、それらの感情の細かなニュアンスは失われてしまう。そうした失われた気持ちのディティールをできるだけ具体的なシーンの中に描くことで、人が持つ普遍的な感情を想起させたい。
私の描く人物は大抵無表情だ。だが、誰かが言っていたように、それはその人物がこれから笑顔になることも泣き出すこともあるということだ。
今回の展示では「黄色い壁」といくつかの場面を描いた。それぞれの作品は互いに影響しあったり、しなかったりしている。小さな話の中の一場面を切り取るような形で、短編集のようなつもりで作品を制作した。私は作品を描くとき、物語をとても意識する。多くの場合、イメージが先に出来上がり、完成間近や完成後に物語がやってくる。別に大した物語ではないので、一つ一つ語ることもないのだが、想像した物語に繋がるヒントを小道具として最後に描き足す事もある。一方で、物語に寄せて作品を大きく変えることはほとんどない。大抵変わるのは物語の方である。自分でも作品の中の話がどういうつながりを見せるのか、見せないのか、作品を描き終わってしばらくするまでわからない。起こったことは、それが終わってから離れて振り返らないと何だったのかわからないということは自分の絵にも言える。もう終わると思っていた物語は続き、まだ続くと思っていた物語は終わってしまった。
絵の中で物語が広がっていく瞬間が好きだ。私には私の物語があるように他の人にも他の人の物語がある。いつかこっそりその話を教えてくれたら良いなと思う。教えてくれなくてもいい。
・アーティストプロフィール
荒井颯子 / Sacco Arai
1999年京都府生まれ。自身の作った架空の空間と映画や雑誌で得たイメージを組み合わせ、人物を配置するという手法で日本画を描いている。自分自身の経験やそこに生じた感情を直接描くことはせずに、自分の外側の世界を描くことで、主観的な経験から距離を置いた視点で作品を制作している。
〈学歴〉
2023年 多摩美術大学 絵画学科日本画専攻 卒業
2023年 多摩美術大学大学院 美術研究科博士前期課程 入学
〈受賞歴〉
2021年 第56回神奈川県美術展 入選
2021年 カワウソ画廊新人賞 奨励賞
2022年 明日をひらく絵画 第40回上野の森美術館大賞展 入選
〈グループ展〉
2020年 あまりもの展/gallery blue (東京)
2021年 Bedtime stories/gallery re;tail(東京)
2021年 iPPUKU!/ ギャラリーzakura(東京)
2023年 第46回東京五美術大学連合・修了制作展/国立新美術館(東京)
2023年 五節句の賦-日本の心を描く-vol.3/東京九段耀画廊(東京)
2023年 ART SESSION by 銀座 蔦屋書店/銀座 蔦屋書店(東京)
・作品販売について
会場での作品販売はございません。展示作品の詳細についてはアートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術手帖」の下記URLをご参照ください。
販売期間|12月1日(金)10:00~12月27日(水)23:59
https://oil.bijutsutecho.com/gallery/730
※作品の販売については、以下のメールアドレスまでお問い合わせください。
ginza_event@ccc.co.jp
・展覧会情報
「黄色い壁、いくつかの短い話」
会期|2023年12月1日(金)~12月27日(水)
時間|10:00~22:00
会場|横浜マリンタワー 2F アートギャラリー
企画協力|CCCアートラボ
入場|無料
【横浜マリンタワー施設概要】
所在地:神奈川県横浜市中区山下町14番地1
展望営業時間:デイチケット入場時間午前10時~午後6時(午後5時半最終入場)、ナイトチケット入場時間午後6時~午後10時(午後9時半最終入場)
WEBサイト:https://www.marinetower.yokohama/