精緻な再現的描写で知られる画家・諏訪敦、待望の最新作品集『眼窩裏の火事』を府中市美術館の個展にあわせて刊行。1月23日(月)より発売開始。
書籍・プロダクト企画開発
美術出版社(東京都品川区)は、府中市美術館での個展「眼窩裏の火事」(2022年12月17日~2023年2月26日)開催にあわせ、諏訪敦の作品集を2023年1月23日(月)に刊行します。卓越した描画技術をもつ画家の、代表作から最新作までを網羅した1冊です。
・本書概要
対象に迫る精緻な描写で知られ、写実絵画のトップランナーとも言える画家、諏訪敦。代表作「棄民」は、NHKのETV特集にて、制作プロセスに密着取材した様子が放映され、その対象をリサーチする徹底した姿勢が大きな反響を呼び、全国的に知られる作家に。現在は武蔵野美術大学教授を務め、根強いファンの多い人気作家のひとりです。
本書では代表作「棄民」シリーズをはじめ、コロナ禍のなかで制作された静物画、2022年に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞したダンサーの川口隆夫をモデルに描いた新作《Mimesis》、そして《Sphinx》など、約70点に及ぶ豊富な作品ビジュアルが掲載されています。
さらに、作家本人のエッセイ、展覧会企画者・鎌田享(府中市美術館)による総論と詳細な作品解説により、これまでの諏訪の作品を詳しく分析。また、写真家の鈴木理策、山本聡美(早稲田大学教授)、小池寿子(國學院大学教授)らによる書き下ろし論考により、「視ること・描くこと」という行為の意味を問い、誠実に挑み続ける画家の真髄に迫ります。
・中面紹介
第1章 棄民
終戦直後の満州で病死した祖母をテーマとした《HARBIN 1945 WINTER》など画家の祖先の姿を描いた作品群を紹介。山本聡美による論考では、九相図や六道絵を通して戦火を描いた美術の歴史を振り返りながら、諏訪の作品がもつ凄みについて分析しています。
第2章 静物画について
コロナ禍のさなか、諏訪は猿山修と森岡督行の3人で「藝術探検隊」というユニットを結成、写実絵画の歴史について議論を交わしながら静物画の制作に取り組みます。本章では国立西洋美術館の渡辺晋輔との対話、写真家の鈴木理策によるエッセイを収録。諏訪の緻密な描写に込められた日本美術史における西洋画への眼差しや、絵画を描くための「みる」という行為をめぐる画家の思考に迫ります。
第3章 わたしたちはふたたびであう
本章では、亡くなった人物の肖像画や、川口隆夫をモデルに描いた《Mimesis》などが登場。取材時に描かれたスケッチや数々の習作からは、画家の人物の特徴だけでなく内面にまで迫ろうとする過程がうかがえます。小池寿子による論考では、《Mimesis》に焦点をあて、「舞踏」にまつわる美術・宗教の歴史を紐解きながら、諏訪の絵を通して死後に人に出会うという「奇蹟」について考察します。
・書誌情報
諏訪敦『眼窩裏の火事』
発行|カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
発売|美術出版社
定価|4,800円+税
仕様|A4変型/184ページ
ISBN|978-4568105537
一般発売日|2023年1月23日(月)
購入はこちら|https://www.amazon.co.jp/dp/4568105536